*コロナウイルス について*

昨日の新型コロナウイルス についてのニュースで、2つショックなものがありました。一つは報道ステーションの富川アナが罹患したこと。ニュースを伝える立場にあるため知識も豊富で、体調管理にも長けているはずのアナウンサーの方が感染してしまったことは、東京では普通に感染者が周りにいることを示していると思われました。もう一つは、関東地区で発熱した人が10以上の病院で診察拒否され続けたというニュースです。慢性疾患で病院にかかる患者さんを感染から守りたいという医療者の意図は理解できますが、そのために診察を断ってしまうという行為には賛同できません。患者さんにマスクを着用していただき、医療者も(濃厚接触を避けるために)マスクの着用と必要時にはフェイスガード、ガウン、手袋で感染防御をして、プライマリーの診療を行うべきと思います。

先日当院にもコロナウイルス に感染した方が受診されました。症状はだるさと微熱のみで咳や呼吸苦など全くなく、念のため撮ったレントゲンを見るまでは全くわかりませんでした。しかしそのレントゲン像は、私の医者人生で初めて見るような右肺の中〜下肺野にかけての均一な肺炎像(すりガラス 影)でした。通常見られる肺炎は細菌や真菌によるもので局所的な濃淡が見られます。風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症に対してあまりレントゲンを撮りませんので、ひょっとしてこれらのウイルス感染でレントゲンをとれば同じような肺炎像が得られるのかもしれませんが、少なくとも私の医者人生の中では初めて見る肺炎像でした。驚いたのは、この肺炎像があるにもかかわらず呼吸器症状が全くないという点で、空恐ろしさを感じました。翌日の保健所からのコロナ陽性との連絡も、全く驚くものではありませんでした。

当院では発熱者に対する岐阜県医師会の診療方針に則って診療しており、この患者さんに対してもマスクとフェイスシールドを装着して診察した上、幸いにして他の患者さんとの隔離もできていましたので、保健所からも濃厚接触者なしとの判断をいただきました。エアロゾル感染を防ぐため受付側の窓から待合室および処置室換気扇への空気の流れを作り、もっとも下流側を隔離ベットとして利用していますし、もちろんベッドやカーテンをアルコールスプレーで除菌した上でその後48時間使用禁止としておりました。

しかし今後は、予想できないケースで感染者と接触する可能性が増えてくると思われます。例えば喘息発作や胸痛など、発熱以外の症状で急に体調を崩して受診されるケースです。常にコロナウイルス 感染を念頭に置きレントゲンを撮らせていただくということを徹底していく必要があると思います。一刻も早く、感染初期でも反応する抗体検査やアビガンなどの治療薬が診療所レベルでも使用できる日が来ることを願うばかりです。

当院でコロナウイルス 患者さんが発生したことによる受診抑制や風評被害を覚悟で、お便りさせていただきました。この記事をお読みになって当院を避けるか、逆に信頼感を持っていただくかの判断は、皆さんにお任せいたします。また、かかりつけ患者さんからの電話での処方依頼に応じていますので、受診が心配な方は遠慮なくお電話ください。よろしくお願いいたします。