慢性閉塞性肺疾患(COPD)

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は聞きなれない病名ですが、実はとてもありふれた病気です。主にタバコの煙が原因で、現在喫煙者である方、昔喫煙者だった方、同居家族が喫煙者で副煙(他の人が吸うタバコの煙)を吸っていた方や、仕事場で副煙を吸っていた方に多くみられます。タバコの煙に含まれる有害物質が肺の中に沈着して慢性的な肺の炎症を引き起こすため、年月とともに少しづつ肺が痛み、まるで古くなったスポンジのようにボソボソになってしまうのです。酸素を取り入れるための小さな空洞(肺胞)が虚脱して大きく硬くなって、酸素の吸収力が低下し、また息を吐いた時に肺に残ってしまう空気量が増えて二酸化炭素が溜まってしまいます。そのためこの病気が進行すると、酸素吸入が必要な生活を余儀なくされてしまいます。呼吸をするという日頃全く気にも止めない当たり前のことが、この病気を発症すると呼吸のたびに苦しさを自覚することとなってしまいます。

 このような呼吸苦症状はかなり病状が進行した状態でみられるのですが、息をはく時にヒューヒュー音がしたり、が慢性的に増えてきたことを自覚したり、日常生活で息切れが強くなってきたりといった症状は、この病気の初期症状の可能性があります。また自覚症状のない初期の段階で、風邪などをきっかけに急激にこの病気が進行(急性憎悪)してしまうことがあります。

 現在のところ、一旦痛んでしまった肺を元に戻すような薬はありませんが、この病気の進行をゆっくりにするための治療は可能です。そのため、呼吸機能検査レントゲン検査でより早く診断をつけ、より早く治療を開始し、そして治療を継続することが大切です。